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コラム

楽都松本のシンボルが逝く

小澤征爾さんがご逝去されました。

信毎の文化部記者時代、奥志賀高原の別荘に来られていた時、別荘に直接うかがって取材をさせていただいたことがあります。恩師の斎藤秀雄氏の想いを引き継いで若いアーティストを募り、夏場に開いていた「小澤国際室内楽アカデミー奥志賀」にも何度かお邪魔したのですが、その演奏があまりにも素晴らしくて、感動して帰ってきたことを鮮明に思い出します。
サイトウキネンオーケストラ自体、松本が主体だったので、長野の文化部だった私は本筋の取材をすることは少なかったのですが、それなりに関わった98年ごろ、松本のオケも聴きに行ったのですが、若手の演奏に比べて私に伝わってくるものが少なかった。この時に、演奏のすばらしさというのは、演奏の技術だけではなく、演奏者の思いや心の在り方も影響するものだなと、20代の私は妙に悟ったことを記憶しています。

小澤さんは私が言うまでもなく世界のマエストロだったし、松本で毎年素晴らしい音楽祭を開いてくださったことは本当に誇りではあります。一方、今松本のクラシック音楽の演奏会は周辺の市町村と比較していい演目が少なくなったと話す方は少なくない。私もクラシック音楽で育ち、時々ピアノやオケを聴きに行きますが、長野市の方がずっと充実していると感じます。楽都松本として「小澤征爾オケ」以外でも気軽に市民が楽しめるクラシック土壌が本質的に根付いていけばいいなと思っています。また、あらためて一般質問で取り上げられたらなと思います。

小澤さんも、師匠の斎藤秀雄さんも、そんな楽都を願っているに違いないと思います。ご冥福をお祈りします。