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議会一般質問

令和7年6月議会一般質問

1. 子どもの未来と社会変化を見据えた教育行政

  1. 不登校支援の現状
  2. 丸ノ内中の改築と未来の学校の在り方
  3. 「子どもが主人公」の本質的実現に向けて

2. 「東アジア文化都市2026松本市」の発展的活用について

  1. 開催の意義と準備状況
  2. 地域の伝統行事継承とまちづくりの契機に

子どもの未来と社会変化を見据えた教育行政

誠の会の中山英子です。会派を代表し、宇留賀議員に続き、土屋議員、今井議員とともに、一部私見を交え、一問一答形式で質問をさせていただきます。

 米不足、物価の上昇、人手不足など一般庶民の暮らしの厳しさが年々増していることを、私自身身近に強く感じています。近所の飲食店では、売上げはあっても支払いがかさみ、手元にほとんど残らない、そんな切実な声も聞きました。私の実家の家業も値上げのタイミングがとても難しいということで、中小零細企業は大変な状況です。

 物には困らない時代であっただけに気づきにくさはありましたが、政治の世界に身を置き、こうした現状の背景を自分なりに学ぶ中で、長年にわたる国の政策の積み重ねにかなり問題があったのではないかと感じています。

 そして、この影響は確実に私たちの暮らしや地域社会に及んでいると実感しています。簡単にひもとけない、まさに困難な時代です。今の子供たちが大人になる頃、どんな社会になっているのか不安に思うことも少なくありません。目の前の課題への対処と同時に、長期的な視野に立った政策、この2つの必要性を改めて強く感じています。

 このような思いの中で、今回は教育と文化、2つのテーマから質問をさせていただきます。

 (1) 不登校支援の現状

 まずは不登校に関する質問です。

 これまでも多くの議員の方が取り上げてきたテーマではありますが、改めて確認をさせていただきます。

 本市においても、不登校児童生徒の数は年々増加しており、令和6年度の統計では750人と過去最多となったと伺っています。

 この状況を受け、本市では民間団体への業務委託、教育支援センターの強化やオンライン教育支援センターの新設、さらにはフリースクール等の利用支援事業補助金の導入など、少しずつ支援の充実が図られているところではあります。その一方で、こうした支援につながれず、居場所となる施設にもつながっていない児童生徒が一定数いるのではないかと考えられます。

 そこで伺います。

 現在そのような児童生徒はどの程度いると把握されているのか、また、その実態はどのように把握しているのか、さらに、具体的にどのような対応が行われているのかについてお聞かせください

教育監(山名博夫) 

初めての答弁ですので、よろしくお願いします。 

お答えします。

 松本市では、毎月小・中学校から提出される不登校児童生徒支援シートによる実態把握に努めており、欠席日数、長期欠席の区分、児童生徒の様子や今後の方向、外部機関との連携の有無等について各学校が記入しています。

 不登校と定義される欠席30日以上に満たなくても、遅刻、早退が増加しているなど気になる様子が見られる児童生徒についても、学校にリストアップしてもらい、教育委員会と共有しています。

 令和6年度末の調査では、不登校児童生徒数は、小学校381名、中学校369名でした。そのうち約85%の児童生徒が、教育支援センターやフリースクール等、学校以外の施設を利用していない実態があります。  そのような不登校で外部機関とつながりのない児童生徒に対しては、不登校支援アドバイザーが学校訪問や保護者との面談、電話相談等を行い、具体的な支援についてのアドバイスや、必要に応じて外部機関とつなげるなどの支援を行っています。

 以上です。

◎中山英子

 お答えいただきました。

 まだこぼれ落ちている児童生徒も多数いると感じているという現場の声が聞かれたため、質問させていただいています。子供の生きにくさを解消するまでにはまだまだ遠いような気がしています。心ある対応と取組の充実を図っていただくことを要望いたします。

 次に、民間による居場所支援について伺います。

 本市においても、独自の不登校支援の補助の充実が少しずつ進められてきているのは承知しておりますが、それでも、独自に運営し、非常に貴重な役割を果たしている施設も存在します。

 例えば原町会にあるフリースペース十色さんは、地域の教員住宅を無償で借り受け、ボランティアと募金によって運営されている居場所で、不登校の子供たちだけではなく、社会との接点を持ちづらくなった20代の若者たちにも寄り添う活動をされていました。公的支援は住宅の提供のみで、現在行っている方の引退後は継続が難しい状況にあります。

 城東地区にある出居番丸西については、昨年度、信州型フリースクール認証施設として県に登録されましたが、こちらも民間の方の善意に大きく依存していると感じます。こうした居場所は、行政の手が届かない部分を丁寧に支えておられる非常に重要な存在だと思います。

 そこで伺います。

 このような施設の運営継続に向けて、さらなる人的、財政的な支援も含め、市として今後どのように考えておられるのか、お聞かせください。

教育監(山名博夫)

 現在、民間で運営されている不登校支援施設への直接的な支援として、令和6年度に創設された県の信州型フリースクール認証制度があります。松本市では5か所の施設がこの制度を活用し、認証を得て補助金の支給を受けています。

 また、松本市では、今年度よりフリースクール等利用児童生徒支援補助金を導入しました。これは民間のフリースクール等を利用する際の経済的負担を軽減する目的で、各月の利用料の2分の1以内の額で、1か月当たり上限1万5,000円の補助を行うものです。補助金の導入により施設の利用が促進され、支援施設への間接的な財政支援となっていくものと考えています。

 今後、このような制度について一層の周知を図っていくとともに、積極的な活用を促していきたいと考えています。

 以上でございます。

◎中山英子

 お答えいただきました。

 さらに多様な形の施設が公的支援を受けられるように、今後も拡充を要望いたします。

 また、昨年度開所したオンライン教育支援センターのシステム開発は、月3万円という最低限の予算で、民間の方の善意の支援によって成り立っているということです。中途半端な支援とならないよう、必要な予算と支援をしっかり見極め、充実度を深めていただくようにお願いいたします。

 次に、不登校児童生徒の相談窓口について伺います。

 昨年度、市のホームページに学校に行けなくなったときの案内が体系的に掲載されたことは、大きな前進であったと受け止めています。しかし、実際にはホームページを見ても、どの支援先が自分に合っているのか分からないと迷う保護者や子供たちは少なくないようです。

 また、ホームページには掲載されていない民間の居場所もあります。こうした状況の中で、個々のケースに応じて丁寧に相談を受け、最適な支援先や選択肢を一緒に考える、言わば不登校支援のコンシェルジュのようなつなぐ役割がますます重要になっていると感じます。

 現時点では、本市の不登校支援を長く支えてきたはぐルッポさんがその役割を果たしていると伺っていますが、市が本格的にこの課題に取り組むのであれば、教育委員会内に専門の部署を設置し、専門的な人材を配置する必要があるのではないかという意見も多く聞かれています。

 また、不登校の背景には複雑な家庭事情が関わっているケースも少なくなく、子供だけでなく保護者への支援が求められる場合も多く、教育と福祉両方の視点から支えていくことが不可欠です。

 そこで伺います。

 教育委員会と健康福祉部の関係部署、さらには社会福祉協議会なども含め、庁内横断的かつ包括的な支援体制の構築について、本市としてどのように考えているか見解をお聞かせください。

教育監(山名博夫)

 各機関への適切なつなぎについては、まず学校にご相談いただくのが一番よいと考えておりますが、学校には相談しづらい状況もあると認識しています。そのような場合の相談窓口は、教育委員会学校教育課学校支援室となります。本年度は主任指導主事を2人体制とし、不登校に関わる相談支援体制を拡充いたしました。

 その上で、松本市インクルーシブセンターとの連携、校内外の教育支援センターの運営、不登校支援アドバイザーによるコーディネート、各校の自立支援教員の拡充などを通して、個々の児童生徒へ個別に多様なアプローチを実施しているところです。

 また、保護者への支援が必要な場合には、市独自で配置しているスクールソーシャルワーカーが関わっています。福祉や医療の面からも支援が受けられるよう、外部機関へつなげたり、手続をサポートしたりしています。

 議員ご指摘のとおり、どこに相談すればよいか分からないという市民の声に答えるために、相談先の周知方法の改善や充実、また、包括的な支援体制の構築についてさらに研究を進めてまいります。

 以上です。

◎中山英子

 お答えいただきました。

 親の苦しみ、そして、子供本人の苦しみに理解を寄せ、共に歩む姿勢で対応できる人材の育成と配置、機能的なプラットフォームの構築、そして、分かりやすい情報提供へと体制のアップデートをお願いいたします。

最後に、曽根原教育長に伺います。

 学校に行きづらい子供たちが自らの未来に希望を持ち、一歩ずつ歩んでいけるようにするには、個別の対応だけでなく学校という仕組みそのものの在り方も含めたより包括的な支援体制の構築が求められると考えますが、本市の不登校支援は今どのような視点に立ち、そして、今後どのような方向を目指しているのでしょうか。

 子供の学力や出席日数といった指標だけでなく、人生そのものを支えるという視点に立って、教育長が現在不登校の状況をどのように受け止められておられるのか、そして、今後どのようなビジョンを持って取り組んでいかれるのか、ご見解を伺います。

教育長(曽根原好彦) 

初めての答弁ですので、よろしくお願いします。

 不登校の状況については、増加の一途をたどり、松本市だけでなく全国的な課題であり、不登校となる背景は明確な理由によるものより、複合的な要素が絡み、本人も1つに特定できないことが多いと認識しています。

 不登校支援は、児童生徒一人一人の状況に応じた心理的安全性を担保できる多様な場を用意することが大切だと考えています。松本市では、登校できるものの教室に入れない子供には校内支援センター等を用意し、登校できないが、学校以外の場所に行かれる子供たちには校外の教育支援センターやフリースクール等の場所を案内し、家から出ることが難しい子供に対してはオンライン教育支援センターを紹介するという重層的な支援の仕組みがつくられていると認識しています。

 議員ご指摘のとおり、このような対症療法的な不登校支援も重要ですが、学校の在り方を見直す根本療法的な対応も必須であると考えています。

 そこで、今の学校は子供たちが生活を送る上で、大人の顔色をうかがって無理をしたり、他者との比較で嫌な思いをしたりなど、生きづらさを感じることがあるのではないかと思っています。学校は柔らかく温かな空気を身にまとい、全ての子供が無理をせず自分らしくありのままにいられて学べる、そんな居心地のよい空間であってほしいと願っています。

 このような学校の実現のため、今は私の願うみんなの未来の学校について校長会で説明し、具体的な学校改革や授業づくりのアイデアを提供して、それぞれの学校の実情に応じた改革が進むよう促しているところです。

 学校改革は上からの指示では進みません。先生方一人一人が納得し、学校づくりの当事者となることで一歩が進んでいきます。学校がその一歩を踏み出せるよう、教育委員会として伴走支援を行い、各校が柔らかい空気を身にまとい、そこで学ぶ子供たちによい影響を及ぼし、不登校の減少につながる、そんな松本市の実現に尽力してまいります。

 以上です。

◎中山英子

 お答えいただきました。

 教育の畑で長い間ご尽力されてきた曽根原教育長の手腕に大きく期待しております。よろしくお願いします。

 本市が高齢福祉分野で展開している地域包括ケアのような、地域と福祉が一体となって個別のケースに対応するシステムはすばらしく、子供家庭分野にもあればいいのにという声も聞かれました。

 子供の数は減っています。システムの構築を今から始め、教育長もおっしゃった子供たちを支えるための重層的な支援の体制の充実と、卒業後へつなげる体制も含め、支援体制構築は急務だと思います。あわせて、教員の皆さんがより丁寧に子供に向き合える学校づくりを改めて要望します。

(2) 丸ノ内中の改築と未来の学校の在り方

 次に、私の母校でもある丸ノ内中学校の改築につてお聞きします。

 現在丸ノ内中学校の建て替え計画が進行しており、これまでに3回のワークショップが開催されています。私自身も初回に参加し、2回目と3回目では受託業者からの設計案の提示があったと伺っています。

 未来の学校とはどのような学校像を示すのか、そのビジョンをしっかりと共有した上で、具体的な意見を収集するプロセスが必要ではなかったかという指摘も聞こえてきています。

 現在、学校指導要領の改訂の可能性や社会の変化を見据えた教育の在り方の検討が進んでいます。昨年12月の芝山議員のご質問に対するご答弁では、従来の日本型学校教育を発展させ、全ての児童生徒の可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図ることが目指すべき学校教育の方向性との見解が示されておりました。

 そこで、改めて曽根原教育長に伺います。

 教育長ご自身が描かれている未来の学校とは、どのような学校像なのでしょうか。

教育長(曽根原好彦) 

 20世紀の成長社会では、情報処理によっていち早く正解にたどり着く力が求められ、ジグソーパズル型学力と呼ぶ方がいます。対して、21世紀の成熟社会では、情報編集によってみんなが納得する最適解を導く力が求められ、レゴ型学力と呼ばれています。レゴには正解の形はありませんが、みんなが美しいと認める形を造り上げることで、みんなにとっての最適な解となります。

 個別最適な学びとは、一人一人の状況に応じて学習を調整する学びのことと理解しています。協働的な学びとは、自分の考えとは違う他者の考えに触れ、対話しながら互いが納得する最適解を導く学びと理解しています。

 このような背景の中、丸ノ内中学校は探求の学びに先進的に取り組んである学校であり、一人一人が問いを立て、地域の方と関わり情報を収集し、仲間と発表し合い、自分なりの答えをまとめる学習が充実しています。改築に当たっては、生徒の探求の学びがさらに充実する空間を整えてまいりたいと考えています。

 また、学校が地域コミュニティー形成の核となる場である視点も重要です。地域と共にある学校として、地域住民の方が気軽に集い、生徒や教職員と交流したり、共に学んだりする場でもあり、地域防災の拠点としての機能も兼ね備えた安全・安心な施設整備を行いたいと思っています。

 丸ノ内中学校は、松本市における最初の改築校としてこれからの学都松本のシンカの象徴となるよう、そして、未来の学校の象徴となるよう、生徒や保護者、地域の方、有識者等の声に耳を傾けながら改築を進めてまいります。

 以上です。

◎中山英子

 お答えいただきました。

 おっしゃるように丸ノ内中学校は市内でも先進的で探究的な学びを積み重ねてきた学校の一つであり、これまでの実践からも導き出されるものは大きいのではないかと拝察しております。

 教員の生徒への向き合いも変わり、答えが多様にある中、よりスキルと人間力が求められる面もあるのかなと、お聞きしていて感じました。温かさと心身の強さ、そして柔軟性のある子供の育ちを促す学校づくりを期待します。

 次に、ワークショップについて伺います。

 これまで開催されたワークショップでは、丸中らしさというテーマが掲げられましたが、参加者の中には、この言葉が抽象的で具体的なイメージを持ちづらく、戸惑いを感じたという声もありました。

 3回のワークショップを終えた時点で出された意見を踏まえ、丸ノ内中学校の新たな学校像についてどのような整理がされたのか、また、今後どのようなプロセスを経て最終的な設計に落とし込んでいくのか、市の考えを伺います。

教育次長(赤羽志穂)

 丸ノ内中学校改築事業のワークショップは、今年3月以降、生徒、保護者、地域住民等を対象に2回、教職員を対象に1回開催し、延べ139名の参加者と意見交換を行ってきました。

 ワークショップでは、初めに、松本市の教育で大切にしたいこと、生徒の学びの形態が変化しつつあること、災害等の非常時だけでなく日常から地域の方が施設を利用できる地域と共にある学校にしたいことを参加者に説明した上で、自由な意見をいただきました。

 各回では、こんな学校だったらいいなという夢や、丸ノ内中学校のよいところ、未来につなげていきたいところを丸中らしさとして互いに共有し、その意見を反映させた平面イメージ図を基に、その空間を使ってどんなことができそうかという思いを巡らし語り合いました。

 ワークショップで出された主な意見としては、オープンで対話しやすい空間、利用目的等に合わせた柔軟なレイアウト、様々な交流を促進できる共用スペース、地域の方がいつでも集える場など、生徒の学びの充実が期待できる校舎の特徴について様々な意見が出されました。

 このことから、地域連携等を促す共有空間の創出、多様な学びや体験を実現する柔軟な空間設計、自立性を育む使いやすい学習・業務環境などの観点を重視し、今後、丸ノ内中学校の新たな学校像の基本計画に生かしてまいります。

 次に、今後のプロセスですが、現在、ワークショップの結果や基本コンセプト案を基に、改修方針を定めるための基本計画案を作成しております。今定例会で事業の進捗状況をご報告し、その後、基本計画案を議会でお示しします。秋には基本計画を基に第3回の全体ワークショップを開き、基本設計を進めていく予定です。

 以上でございます。

◎中山英子

 お答えいただきました。

 ぜひ地域との連携がさらに深まり、松本市の未来の学校像として牽引できるような中学校にしていただきたいと思います。

 また、丸ノ内中学校の校歌の中にもある自治の鐘を生かし、学校に行くのがわくわくするようなシンボリックで魅力的な建物も大切だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、施設の集約化、複合化の視点についてお伺いします。

 老朽化が進んだことから、このタイミングでの改築となった丸ノ内中学校ですが、社会の変容に伴い、学校に求められる役割や機能も大きく変わってきています。そうした中ではありますが、丸ノ内中学校は他の施設や学校との統合はせず、松本市の新たな学校建築の方向性を定める試金石と市長が位置づけ、改築計画に踏み切られました。

 先ほど教育長も触れられておりましたように、防災拠点や地域の交流の場としての複合的な機能を兼ね備えることで、今後の地域との関わり方を考えることは重要な要素です。

 しかし、今の段階では、地域の在り方の今後を踏まえた未来の学校という議論がやや抽象的であり、具体的な施設の機能や設計に十分落とし込まれていない印象も感じました。

 学校建築の方向性や教育環境の在り方について、設計や学校像そのものを改めて見つめ直す必要があるかと思いますが、現時点での考え方と今後の方針についてお伺いします。

教育次長(赤羽志穂) 

 丸ノ内中学校改築事業については、近くの白板地区公民館が平成27年4月に新築されており、ほかに複合化する大きな公共施設が周囲にないことから、中学校単体での改築事業を開始しました。

 改築事業により、非常時の避難所機能に加え、日常の地域交流の場として地域の方が利用できる校舎改築を予定しています。具体的には地域の方が集う地域室や地域の方と共に学べるオープンスペースの設置を検討しています。

 また、今後の小・中学校の改築事業については、地域の事情に合わせて保育園や児童センター、公民館など周辺公共施設との複合化について、関係部局と検討していく予定としています。

 次に、学校建築の方向性や教育の環境の在り方については、先ほど教育長がお答えした未来の学校のビジョンを基本とし、ワークショップで出された意見を踏まえた具体的な機能を今後作成する基本設計に落とし込んでいきたいと考えております。

 以上でございます。

◎中山英子

 丸ノ内中学校の事情について承知しました。

 2月定例会の一般質問で土屋議員からも、学校や施設の統廃合の話が出ておりましたが、今後の学校の集約化と複合化については、近隣を含めた全体像を熟慮しながら時代に合わせた計画を作成し、進めていただければと思います。

(3) 「子どもが主人公」の本質的実現に向けて

 臥雲市長に質問させていただきます。

 不登校や学校づくりの課題は教育分野だけにとどまらず、社会構造の変化と深く結びついた極めて複雑なテーマだと考えます。

 本市では、教育大綱で「子どもが主人公」を掲げ、市政全体でもジェンダー平等、女性活躍を重要な柱と位置づけています。私はジェンダーの平等や女性が社会で活躍するといった意識は、ここ数年でかなり前進を遂げ、スタンダードになりつつあると感じています。一方で、共働き家庭の増加や核家族化の進行、経済状況の変化により、子育て環境が年々厳しくなり、家庭の余裕のなさが子供たちの心身の安定をじわじわと脅かしているとも感じています。

 昨年12月定例会定例会でこば議員、2月定例会で上條美智子議員が言及されていた愛着障害は、この社会背景が影響していると思います。ジェンダー平等と女性の活躍が当たり前になる中、働きに行かず、家事や子育てを重視したいと考えることへの後ろめたさがあるという声も聞きます。

 また、経済的な面から働かざるを得ない人も多いです。共働きの強調が結果として子供たちの孤立や不安をもたらした面は少なからずあったのではないでしょうか。

 そこで、乳幼時は子供と一緒に過ごしたいが、経済的に苦しいといった家庭に対し、一定の補助金を支給するなど、子供たちと過ごしたいと思う親の背中を強く後押しする施策を充実させることについて、市長はどのようにお考えになりますでしょうか。

市長(臥雲義尚)

 今、中山議員からこの社会構造の変化、そして、教育においての家庭の余裕のなさということが非常に影を落としているというご指摘をいただきました。その上で、まず、ご指摘のあったジェンダー平等、そして共働きの強調ということの意味、あるいは課題といったことにお答えをさせていただきます。

 男女平等の度合いを表すジェンダーギャップ指数で、日本は昨年度世界118位、先進国最下位という結果が先ほど発表されました。依然として男女の格差是正が世界基準から大きく遅れているということが明らかになっています。

 男性は仕事、女性は家庭というライフスタイルが当たり前とされた時代は終わり、日本でも夫婦のいる世帯のうち7割が共働き世帯、専業主婦世帯が3割という直近の状況に変わっていますが、こうした変化が固定的な性別役割分担意識や男性中心の社会構造をこうした変化に変えるスピードが追いついていないというのが現状だというふうに思います。

 子供が主人公という社会、私はこれを実現するためには、過度な少子化の是正ということが前提になると思います。家庭や職場、地域や行政、あらゆる場でジェンダーギャップの改革を進め、働くことも、子供を育てることも社会全体で支えていく、こうしたことを共働き・共育てというふうに捉えて、その仕組みを整えていくことが重要だと考えます。それが共働きの行き過ぎた強調ということに受け止められるとすれば、十分留意しなければならないと考えます。家庭の子育てを第一に考える方々にとって、それが圧迫感のあるようなメッセージになっているとすれば、伝え方、私たちの考え方をもっと丁寧に伝えていく必要があると考えます。

 その上で、3歳まで保育園に預けず、家庭で子供を育てている世帯を対象としての補助金の支給というご提案がございました。松本市としては、こうした子育て支援についての基本は、現金給付ではなくサービス給付の充実にあると考えています。

 こうした世帯に対しては、これまで様々な子育てサービスを提供する制度を整備した上で、ファミリーサポート、一時預かり、病児保育といった子育て支援を無料で利用できるクーポンの拡充を進めてまいりました。これからもこうした姿勢を基本として、子供が主人公の社会を実現するために、幅広い視点から若い世代や子育て世帯を応援してまいりたいと考えております。

◎中山英子

 お答えいただきました。

 市長のご答弁にもありましたように、共働きが当たり前となり、多様な生き方が選べる社会になったことは大きな進歩だと私も思っています。

 一方で、自己実現や自由が重視される中で、子供たちの環境や地域のつながりが置き去りにされ、そのようになっていったことも事実ではあります。大人が自己実現に向けて走ること、賃金を得て働くことが美徳とされる社会では、親も子供もどこか孤立し、地域のつながりも希薄になっていくのは当然の流れなのではないでしょうか。

 かつては家庭や地域が子供を包み、子育てに誇りを持てた時代がありました。それは古い価値観だということだけではなく、大人からのエネルギーを得て、子供たちが安心して育つ土壌だったのではないでしょうか。今こそ現代の柔軟性を生かしつつ、地域の温かさや家族のゆとりといった日本的な社会の力を意識的に取り戻していく必要もあるのではないかと私は感じています。

 先ほど市長からサービス給付の充実を前提にということでお話がありましたけれども、行政による子育ての支援の別の形での意味の強化もしていただければありがたいというふうにも思います。

 例えば滋賀県のある自治体で、在宅育児支援として保育所を使わない家庭に、月3万円の補助を行っているところがありました。子供に向き合いたいという親の選択を支える制度は、子供を社会全体で育てていくというメッセージにもなると感じます。

 また、部活動の地域移行では、親の送迎が難しいので選択肢が狭まってしまうという不安の声も届いています。やりたいことを選べるまつチャレのプラス部分もあると思いますが、こうしたマイナス面をどう補うのか、地域移行によって子供の体験格差が生じないよう、丁寧な設計をお願いしたいと思います。

 このようなことも親の余裕のなさから来ているというふうに私は思っているので、このようなことも付け加えさせていただきました。

 今こそ子供を真ん中に据えた社会の在り方を松本市から本質的に提案していただきたい、そのように願い、次の質問に移らせていただきます。

「東アジア文化都市2026松本市」の発展的活用について

(1) 開催の意義と準備状況

 東アジア文化都市2026松本市について質問します。

 本市が日中韓の文化交流イベント東アジア文化都市に採択されてことについては、昨年8月の経済文教委員協議会で報告がありました。この文化庁事業にエントリーした理由には、国際文化都市、国際文化観光都市を掲げる松本市で芸術館の大規模改修中に新たに就任した3人の芸術監督団が活動を地域に広げるアウトリーチの場としても最適とのご説明をいただいています。

 補助金助成事業とはいえ、全体で1億5,000万円を超えるという予算規模で、数年を通して展開されることから、本市にとって大きな文化事業であると認識しています。

 そのため、一過性のイベントに終わることなく、また、国際交流や観光促進だけでなく、将来にわたって松本のまちや市民にとって、意義あるレガシーを残すものであってほしいと願って質問をします。

 東アジア文化都市に本市がエントリーし、採択されるに至った背景には、どのような理念や目的があったのか、市として基本的な考え方に加え、事業費については現在どの程度の規模になると見積もられているのか、改めてお示しください。

 加えて、開催まで半年を切った今も、市民の間ではこの事業の存在自体がほとんど知られていないようです。広報、周知はどのように進められているのか、また、現在の準備体制や実行委員会の委員構成も含めてお聞かせください。

文化観光部長(小口一夫)

まず、東アジア文化都市事業についてでございますが、本事業は、松本市が目指す国際文化観光都市としての魅力をより高められるものです。日中韓の友好関係の構築を図りながら、松本市の文化的価値を高め、都市としての魅力を国内外へ広く発信する好機と捉え、本事業へ応募をいたしました。その結果、多様な市民参加を促し、三ガク都松本の特性を生かした提案であることが評価され、採択に至っております。

 事業費につきましては、今後、財源確保の状況により変動の可能性はありますが、令和7年度から令和8年度までの2年間で2億円程度を予定しております。

 次に、広報、周知についてですが、議員ご指摘のとおり、現在、事業に対する知名度が高くない状況は、認識をしております。2月定例会の土屋議員の答弁にもありましたが、今年の秋に開催予定の日中韓文化大臣会合において正式に開催都市としての決定を受けること、また中国の開催都市が選出されていないこともあり、大々的に周知活動を行うことを控えている状況です。現在は、市民の認知度を高めるため、SNS等による松本の様々な分野に関わる魅力を発信しております。

 事業実施に向けては、より多くの市民に関わっていただけるよう、コーディネーター、ディレクターを中心に状況調査を行い、準備を進めているところでございます。実行委員会の委員につきましては、松本市芸術文化振興財団、文化、経済、観光等、各種関係団体、民間活動団体、松本市を含めた行政等、幅広い分野による全24団体で構成されております。

 以上です。

◎中山英子

 ご答弁いただきました。文化的活用、国内外へ広く発信するということが大きな目的の1つであるということでした。告知は現在も中国の都市が決まらないことが周知に影響しているということでした。

 インスタグラムの発信についてもフォローして拝見させていただいておりますが、洗練されたセンスで情報発信がされているとは思いますが、東アジア文化都市の告知ということが少々分かりにくいというふうに感じています。今後は、通年のイベント告知をより丁寧に行うとともに機運醸成にも力を入れ、市民の関心と理解を一層高めていくようにお願いいたします。

 次に、本事業について、観光プロモーション的な側面が強いと受け取れます。市民にとって身近な地域文化振興や再評価にどうつなげ、市民益や波及効果をどのように見込んでいますでしょうか、また今後展開していく主な事業内容や、市民が主体的に関わっていく企画などについてもお聞かせください。

文化観光部長(小口一夫)

 東アジア文化都市は、国際的な文化交流が中心軸です。そのため、観光振興も重要でございますが、市民の文化活動の活性化や地域の伝統文化の再評価が重要な視点でもあると捉えています。

 こうした視点に基づき、持続可能な地域社会の形成を目標とするものであります。具体的には、これまで注目される機会の少なかった地域固有の伝統芸能、工芸、食文化などを掘り起こし、紹介することで、市民自身が文化の価値を再認識し、郷土の誇りと愛着を育む契機を創出していきたいと考えております。

 また、中国、韓国との文化芸術交流を推進することで、市民レベルでの交流が深まり、新たな創作活動のきっかけが生まれ、市民にとっての文化的利益と多文化共生社会の涵養につながるものと捉えています。

 東アジア文化都市事業を通じ、松本市の国際的な知名度とブランド力を向上させ、将来的な観光誘客だけでなく、移住定住の促進や海外企業誘致にも結びつくと期待を寄せております。

 今後の具体的な事業展開につきましては、ディレクターを中心にコアとなる事業の企画を進めておりますが、また、市民が関与できる仕組みとして、趣旨に沿った事業への助成を個人、団体及び企業の取組に対し行うことを予定しています。多くの市民の皆様に積極的にご参加いただき、パートナーシップを深めながら、統一感のある事業を展開してまいります。

 以上です。

◎中山英子

 ご答弁いただきました。文化と観光のバランスを大切にしていただきたいと思います。殊さら、生活面や物価面をインバウンドに合わせることで市民が生活しにくくなったりすること、また、海外資本の土地購入の問題も近年起こっておりますので、留意をしていただければと思います。

 また、今年度、文化財課が文化観光部へ移管されたことについて、市民の皆さんから懸念や厳しい声も寄せられています。文化は観光のための手段ではなく、歴史や市民の暮らし、学びの延長の中に本来の魅力と価値があります。市民が文化の担い手として自発的、主体的に関わり、これまで紡いできたものを地域で支え合いながら深化、発展させ、未来へ継承していくという営みを大切にし、サポートしていく文化行政であってほしいと願います。

(2) 地域の伝統行事継承とまちづくりの契機に

 次に、これらを踏まえ、地域の伝統行事継承とまちづくりの契機という視点から、提案をさせていただきます。

 松本の市街地は、安土桃山時代に松本城を中心に築かれた城下町で、古くから交通の要衝として栄え、信州で一番の商都に発展してきた歴史があります。商都を象徴する存在として、特に女鳥羽川から南、商人の色合いが濃い南深志と呼ばれるエリアに位置する本町、中町、伊勢町など、9町会が所有する16台の祭り舞台があります。産土神社は、芸術館の南側にある深志神社です。たった700メートル四方ほどのエリアに、16の町会がそれぞれ舞台を保有しているという点からも、かつての経済の威勢のよかった商都の活気と実力、プライドが表されていると感じます。

 平成7年には、舞台の保存、修復そして伝承を目的に、町会を越えた松本深志舞台保存会が結成されました。市や財団法人東日本鉄道文化財団の支援と助成を受けながら、研究が進められた成果として、平成13年、18台の舞台が市の重要有形民俗文化財に指定され、平成26年までに南深志エリアの16台と女鳥羽川の北、北深志エリアの六九町と東町2丁目に残る2台の舞台が順次修復されました。彫刻や人形が施され、江戸文化を今に伝える貴重な文化遺産として守られてきました。

 現在は、7月24日、25日の深志神社の例大祭いわゆる天神祭りにおいては、南深志エリアの16町会、舞台の上で子供たちがおはやしを奏で、大人によって曳航します。町内を練り歩き、神社の境内で一斉に終結します。また、10月1日、2日の四柱神社の例大祭に合わせては、大名町通りや(仮称)松本城大手門枡形跡広場、博物館前に、北深志の2台も加わった計18台の舞台が展示されます。こちらのほうが、中心市街地の風物詩の一つとして定着しているかもしれません。

 過去には、信州・まつもと松本大歌舞伎や松本山雅の優勝パレードに合わせて、舞台が市内を曳航した例などがあります。

 そこで提案です。市の重要有形民俗文化財であるこの祭り舞台群を、東アジア文化都市でいずれかの例大祭の機会に、子供のおはやしとともに16台ないしは18台そろって中心市街地を曳航し、市民や観光客らが商都の歴史に触れられる特別な場を創出し、将来的に伝統文化を継承していく仕組みを模索してはいかがでしょうか。文化財の活用を通して商都の歴史文化を再評価し、市民が地域の誇りや日本人としての歴史的、文化的ルーツを体感すること、また、沈みがちな市街地エリアの活性化にもつながる上、観光資源としてもポテンシャルがあるかと思いますが、本市の見解をお伺いいたします。

文化観光部長(小口一夫)

 東アジア文化都市では、三ガク都松本の魅力を国内外へ広く発信することを目的の1つに掲げており、また先ほど申し上げたとおり、この事業の取組の中で、地域の伝統文化を再評価し、市民の地域への愛着や誇りにつなげていくことも目指しております。

 議員ご提案の舞台の曳航は、松本の歴史と文化を象徴的に可視化する取組であり、とりわけ若い世代や海外からの来訪者にとって伝統文化の奥深さと魅力に触れる貴重な機会となります。あわせて、舞台自体が商都の反映と民衆文化を伝える文化財であることを改めて注目していただく意義は大きいと認識しています。

 現在、神社の例大祭に合わせて祭り舞台の展示が行われるほか、町内会の曳航が行われています。東アジア文化都市の一環として、城下町の16台あるいは18台の舞台が勢ぞろいし、中心市街地を曳航する事業の実現に向けて、関係部署や保存団体と協議しながら検討を進めてまいりたいと考えております。

 以上です。

◎中山英子

 大変前向きなお答えをいただきました。ぜひ実現に向けてお願いいたします。

 先月亡くなられた松本商工会議所の赤羽眞太郎会頭が、この舞台をまちづくりに生かすようにと、何度か私に語ってくださったことがとても印象に残っています。

 祭り舞台に限らず、各地で伝統芸能の継承は課題となっています。特に空洞化が進む中心市街地においては、引き手の確保やおはやしの子供への継承など、担い手不足が深刻化しており、町会のみでの存続危機は待ったなしの状況です。ほかの地域や学校、地元企業など様々な主体を巻き込み、部局を越えて市全体で支える仕組みを構築していただきつつ、今、課題でもある商都の再生の両立を目指すことはできませんでしょうか。

 そのきっかけに、今回の東アジア文化都市を生かしてほしいと思っておりますが、市の対応方針をお聞かせいただきたいと思います。

文化観光部長(小口一夫) 

 東アジア文化都市の開催は、文化振興、国際交流、観光、経済産業、それぞれの分野を横断して事業を実施することができる好機と捉えています。現在、各部局と連携可能な事業を探る中で、地域の祭りの発信や活用方法なども重要な項目として捉え、検討を進めております。

 議員ご指摘のとおり、祭りや伝統行事の担い手不足という問題は、中心市街地のみならず郊外地域においても深刻化している状況を、各地域に聞き取りを行う中で確認をしております。そのため、東アジア文化都市事業では、松本駅周辺から松本城周辺までのえきしろ空間で、地域全体の文化を効果的に紹介することにより、市民をはじめ訪問者にも伝統文化の魅力を伝える、言わば地域文化のショーケースとして機能させることを検討していきたいと考えております。

 また、議員ご提案の舞台の曳航をはじめとする伝統行事の再評価は、商都松本の歴史的アイデンティティーを現代に再生する取組にもなります。そのためにも、地域住民や文化財課、教育委員会、中心市街地活性本部、商工関係また観光部門などと緊密に連携しながら、祭りや伝統行事の担い手確保と新たな参加の形を創出し、まちづくりの融合を積極的に推進してまいりたいと考えております。

 以上です。

◎中山英子

 大変前向きなお答えをいただきました。えきしろ空間を伝統芸能のイベントをショーケースとするような形で考えていらっしゃるということで、理解しました。

 周知のように、中心市街地は大型商業施設の撤退、その後の未確定な要素が多い中、パワーが落ちていることは否めない状況にあります。

 昨年の11月、テレビ松本50周年記念事業、子どもたちのゆめ舞台に、松本深志舞台保存会の松本の祭囃子伝承スクールも出演し、子供たちがおはやしを披露しました。全公演見ましたが、郊外も少子化に伴う担い手の課題があるものの、まだまだ勢いを感じた次第です。

 市街地と古くからご縁のある吉村副議長と舞台町会の住人である私は松本深志舞台保存会に関わっておりますが、悲痛な声をいただいています。引き手不足や舞台老朽化の課題はタイムリミットに来ているため、現在アンケート調査を実施準備しているところです。ちなみに、私の町会は枝町に当たる飯田町一丁目というところですが、22世帯38人のみで、子供の数はゼロです。しかし、祭り舞台は保有しています。市長が住まわれる小池町も舞台は持っており、実情はご存じかと思いますが、ぜひ東アジア文化都市で、ディレクターの皆さんや行政の皆さんのお力とお知恵を借り、一緒に取り組んでいただければと思います。

 最後に、市長に伺います。

 これまでにも述べてきたように、改めて東アジア文化都市は、単なる一過性のイベントではなく、地域文化の担い手を育てる過程でつながり合い、まちの再生を同時に推進するステップとして有効な機会だと考えます。文化資源を地域の誇りとして再評価、再構築し、地域づくりや教育とも連携しながら、市民が主体的に関わりたくなる持続可能な文化政策として戦略的に位置づけていくことが求められます。

 東アジア文化都市という事業を取り組む決断をされた市長に、改めて構想とビジョンについて具体的にお聞きしたいと思います。

市長(臥雲義尚)

 中山議員がご指摘のように、文化資源を地域の誇りとして再評価、再構築することは、平成の大合併から20年の節目を迎えた松本市にとりまして極めて重要な視点であります。そして、来年の東アジア文化都市の開催は、そのための有効な契機になると考えます。

 松本市が東アジア文化都市のメインテーマに定めたARTS&PEACEは、第1に、日中韓3か国が戦後80年の歴史を振り返り、文化、芸術の交流によって東アジア地域の平和を確かなものにしていくという意思を表しています。同時に、三ガク都として誇るべき文化、観光資源の魅力を再評価し、国内外に大きく発信することを通じて、松本で暮らす1人1人が豊かさと幸せの尺度を見つめ直し、文化の薫り高い平和な都市であり続けるという意味も込めています。

 その際、私は、文化と観光を二項対立で捉えるのではなく、相乗効果を生み出すものとして捉えていきたいと考えています。先ほど文化観光部長が申し上げたとおり、今回の事業を機に、松本市内の各地域で受け継がれてきた伝統的な文化行事について問い直し、市民1人1人がそれらの魅力を再発見できる取組を多角的に検討していきます。そして、その際、国内外に強く大きくそうした動きを、取組を発信していきたいと思います。

 旧村落単位に営まれてきた伝統行事を松本市全体の文化資源と捉え、それぞれの地域が直面している担い手や継承の課題を松本市全体で支える体制を再構築すること、そうした試みを持続可能な多極集住のまちづくりにつなげていくこと、そのために、東アジア文化都市の事業に関わる人の裾野をできるだけ、できる限り広げていくということを、関係者の皆さんと共に目指してまいりたいと思います。

◎中山英子

 お答えいただきました。相乗効果、観光と文化二項対立でなく、相乗効果をもたらすことを大切にしたいということで、理解しました。観光やブランドが先行する形とならないよう、再三の注意を払ってお願いいたしたいと思います。

 繰り返しとなりますが、今日の提案に関しては、イベントのための新たな祭りの創設ではなく、既にある歴史ある地域の祭りに新たな視点を加え、子供や若者、移住者を含む多様な市民の参加によって伝統文化再生の回路を広げていこうということです。

 2026年の東アジア文化都市の翌年には、深志神社は25年に一度の御祭神菅原道真公御正忌1125年大祭も控え、さらに2028年には国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会の開催など、3年連続で大きなイベントが続いています。中心市街地の件にのみを言わせていただきますけれども、このタイミングで舞台の一斉曳航の実践を繰り返すことで、伝統行事を未来へとつなぐ持続可能な文化資源として再編できるのではないかと考えます。

 また、中心市街地のみならず周辺地域でも、ここで得た仕組みを生かせるようになっていったらいいと思います。京都市の祇園祭や高山市の高山祭のように、地域住民が誇りを持って継承し、行政と共に育ててきた祭りは、今や都市の魅力を国内外に発信する文化面、観光面でのシンボルとなっています。また、諏訪地方の御柱祭もそうですが、県外に出ていった子供たちが帰省し、家族との関わりを持つ機会ともなっています。こういった祭りの存在が、松本にとっても重要だと思います。

 東アジア文化都市という大きな予算と注目が集まるこの機会だからこそ、見せる文化だけでなく、育てる文化のまちづくりに力を注いでいることを、全国、世界に発信する意義があります。同時に、商都松本そしてガク都松本として、松本の内にある文化を市民が自ら見つめ、育て、つながり、照らし直す営みこそ、2026年は意味があったと語り継がれる未来へとつながると信じています。

 東アジア文化都市が松本の市民文化再生に向かう確かな一歩となることを願い、私の質問を終わらせていただきます。ご協力をありがとうございました。