令和6年2月 定例会2月19日
1松本のまちづくりと松本パルコ閉店後の複合施設について
- まちと行政のコミュニケーションについて
- 施設の方向性とまちづくりについて
- 人材の育成、人づくりについて
◎中山英子
誠の会に移籍しました中山英子です。初心に立ち返り、会派を代表し、同僚議員とともに、私見を交え一問一答方式で市政全般について質問させていただきます。
松本パルコ閉店に伴う対応について。
2月7日に行われた経済文教委員協議会で、北半分の3階から6階を年間3億円程度の賃料で20年借り、公共施設を設置する方針が了承され、市の関与を前提に北側の新館を改築し、地下1階から地上2階を商業施設として、令和8年度中の営業再開を目指す考えを示す株式会社パルコとの具体的な協議に入ることとなりました。私も経済文教委員会の一員として、市の考えに了承いたしました。委員協議会でも述べましたが、松本パルコから徒歩2分の距離に住み、そこで生まれ育った身であるゆえ、自分の下した判断についての責任を重く感じております。
この投資が次に次世代を担う若者たちに選ばれ、多くの市民に活用され、松本の顔の一つとして新しい市街地のにぎわいが生まれる拠点となるためには、市民、民間、行政が一丸となる必要があります。皆が同じ思いを共有しながら進んでいくために、今何が必要かということを私なりに整理し、今回3つの視点から質問させていただきます。
まず、町や市民、行政とのコミュニケーションについて質問をさせていただきます。ポストパルコをめぐる件に関しましては、情報の取扱いに関しての制限がある中で、事前に市民や関係者の声を聞くことは難しい面もあったとは理解できますが、ベースとして、市の関係者が日常的にキーパーソンとなる方々との信頼関係の積み重ねと意識の共有があれば、受け取りや状況は違ったのではないかと思うことがまちの関係者と話す中で感じていました。
今回の経過を踏まえ、市のご見解をお伺いします。
◎総合戦略室長(近藤潔)
松本パルコ閉店後の対応につきましては、これまでも申し上げているとおり、民間企業の経営にかかわることであり、相手方との信義則に基づき、情報の管理には最新の注意を払う必要がございました。また、株式会社パルコの商業施設再開という大きな方向転換の判断は、スケジュール的にギリギリのタイミングであったことから、議員ご指摘のキーパーソンとなる方々に事前に情報共有し、情報提供し、理解を深める取組をすることは非常に難しい状況でございました。
なお、今後につきましては、商業関係者や関係団体の皆様に対し、情報の共有と意見交換をすることにより、理解を深めていただきながら丁寧に進めてまいります。
以上でございます。
◎中山英子
日頃のコミュニケーションは本当に大切だと思います。改めて心がけていただくことを望みます。
町なかでも市が関連する様々な事業やイベントが行われておりますが、互いのリアルな関係の積み重ねを行うことで、経済の活性化に合わせ心の豊かな地域づくりにもつながっていくはずです。一つ一つが実りある活動につながるよう、血の通った向き合いをしていっていただきたいと思います。
次の質問に移ります。
2月7日の経済文教委員協議会では、設置する公共施設の詳細等については、市民の声を丁寧にお聞きした上で案を取りまとめるという説明を理事者側からいただきました。先ほどご答弁いただいたように、情報の取扱いに制約があったために、コミュニケーションにも制約があったことは理解の上でお聞きします。改めて今後どのようなプロセスで市民の声を聞き、商工会議所をはじめとする関係者とのコミュニケーションを図っていく予定でしょうか。スケジュール感を含めできるだけ具体的に教えてください。
◎総合戦略室長(近藤潔)
初めに、市民の声を聞くプロセスについて申し上げますと、去る2月7日開催の経済文教委員協議会でお示ししました設置を検討する公共施設の素々案を基に、まずはSNSなどを通じて、広く多くの市民の皆様から意見やアイデアをいただきたいと考えており、現在準備を進めているところでございます。
また、松本商工会議所をはじめとする関係者の皆様とは、先ほどもお答えしたとおり、株式会社パルコとの協議の進捗状況などについて適宜情報の共有をした上でご意見を伺うなど、コミュニケーションをしっかりと図ってまいります。
以上でございます。
◎中山英子
この週末に足を運んだ町なかの地区の公民館活動でも、この件についてはもっと話を聞いてほしいといった声が寄せられました。また様々な団体、学生が、今回の施設のことや、どんな中心市街地をつくっていきたいのかなど、意見を出す場を設ける機会を持っているようです。SNSで呼びかけるということだけでなく、例えば学校や足を運んで意見を寄せてもらうよう依頼をしたり、協議会を設置するなど、切れ目ない人とのつながりを大切にしながら、意見聴取する方法を計画的に進めていただきたいと思いますので、改めて要望をしておきます。
次の質問に移ります。
今回の件に限らず、市民の声を聞いていない、トップダウンで物事が決まってしまっているのではないかという声を聞くこともあります。そこで臥雲市長にお伺いいたします。市長はこの4年間、どのような形で民意を把握してこられましたでしょうか。またパルコの件も含めて、今後どのように市政運営を進めるのかお伺いします。
◎市長(臥雲義尚)
初めに、民意の把握に関して申し上げれば、市長就任以降、全ての市長への手紙に最初に目を通し、改善できることは直ちに改善するよう指示をしてまいりました。また、10回にわたる多事総論会や35地区全てで開催した住民との懇談会では、直近のテーマや地区特有の課題について市民の皆さんと直接意見を交わし、民意の把握に努めてきたところであります。
その上で物事の決め方に関しましては、一般論で申し上げれば、トップダウンとボトムアップは状況に応じて使い分け、柔軟に組み合わせることが重要であると考えます。問題の所在や案件の性格によっては、市長の責任で速やかに判断し指示を出す場面もあると認識しています。
そうした中で議員ご指摘のような意見が多々あるとすれば、日常的に先ほどご指摘にあったようなキーパーソンとなる人々との理解を深め、これまで以上に市民の皆様の声に真摯かつ丁寧に耳を傾けてまいります。
なお、パルコの後利用に関しましては、先ほど総合戦略室長が申し上げましたとおり、どのような公共施設を設置するかにつきましては、様々な手段を通じて市民の皆さんの意見を丁寧に幅広く聞いてまいります。そしていただいた意見を具体的な計画案に反映し、新たなにぎわいや市民の利便性向上につながる魅力的な施設になるよう、市民、民間、行政が一丸となって取り組んでまいります。
◎中山英子
ご公務等でお忙しいとは思いますが、ぜひとも町に顔を出す機会を増やしていただき、意思疎通を図っていただければと思います。
次に、施設の方向性とまちづくりについて質問します。
このほどの経済文教委員協議会の中で、まちづくりの観点から、パルコ南側の土地を市が買収する方向性について委員から要望が出ましたが、土地の取得については難しいといったご説明を受けました。その後も、市民から南側を市が持つことへの要望も実際聞かれています。残す北側の建物と南側に面した建物等を連結することについては、担保してほしいと町の関係者は望んでいます。
1年間の賃借料およそ3億円で20年といった契約をするに当たり、パルコ側にも積極的に松本のまちづくりに関与していただき、パルコ社、松本市、関係者の全員がウイン・ウインになるような考え方の提示を元に交渉していただきたいと考えますが、市のご見解をお聞かせください。
◎総合戦略室長(近藤潔)
株式会社パルコには、単に1つの商業施設の再開にとどまらず、中心市街地全体の価値を高め、にぎわいのあるまちづくりに一緒に取り組んでいただけるようお願いをしてまいります。また今後パルコには、賃貸借の条件面などを協議する中、関係者との意見交換にもご参加いただくなど、議員ご指摘の松本のまちづくりについてご意見、ご提案をいただき、その考え方をご提示できればと考えています。
以上でございます。
◎中山英子
南側は花時計公園に面しております。最善に進むような交渉を改めましてお願いいたします。
次に、設置する複合施設について。
図書館に加えこれまでに若者、子供、三ガク都といったキーワードが示されています。具体的に現段階でどのようなイメージを持たれていますでしょうか。改めてお考えをお聞かせください。
◎総合戦略室長(近藤潔)
新たに設置する複合施設につきましては、本定例会初日に市長が提案説明で申し上げたとおり、大枠として図書館機能をベースに、子育て支援や文化振興などに資する様々な機能を融合させた施設、こういったことをイメージしています。これは子供を主人公に、あらゆる世代が混じり合い、一人一人が好きなことや楽しいことをとことん追求できる探求の入り口を松本のまちの真ん中に作り上げることを目指していくものです。
なお、具体的なイメージにつきましては、先ほどもお答えしたとおり市民の皆様から広く意見やアイデアをお聞きした上でお示しできればと考えています。
以上でございます。
◎中山英子
昨年11月22日の経済文教委員協議会で、パルコ側から閉店後の方向性に関する報告を受け、理事者側から公民連携による複合施設案を示された後、市民の方々と話す中でいいなと思った考えがあったので、幾つかお伝えさせてください。
1つ目に、山岳のガクですが、ボルダリング、クライミングのようなジムを入れるのはどうかといったアイデアがありました。ボルダリングについては、全身の筋力をバランスよく整えるためにもとても有効な手段で、私も競技選手時代に多用しました。ボルダリング系の遊具などは、下は園児から小学生など、発育期の子供たちの神経系にもとても有効なもので、外で遊ぶ機会が少ない現代の子供たちの遊びにとてもいいと思います。夜の10時頃までやっていれば、仕事帰りのサラリーマンのリフレッシュにも使えます。
それに合わせて、北アルプスの山々やスキー場のライブカメラ等がまとめて見られるブースがあったら、山好きの市民や観光客は必ず立ち寄るのではといった声もありました。
また音楽のガクの面では、バンド等の練習スタジオを望む声も多く聞きました。塩尻市のえんぱーくも音楽スタジオが3つ設置されていて、開館当初から利用率は高く、ほぼ埋まっている状況で、市外からも利用者も多いということです。音楽愛好者に聞くと、松本市内でスタジオが足りていないという声もあります。民間の圧迫は避けつつも、ぜひこの辺りも検討材料として提案させていただきます。
国内の成功事例で、青森県八戸市の中心市街地の公共施設の事例を参考までに紹介させていただきます。八戸市は人口が約22万人と松本市と似た規模の中核市ですが、駅から電車で10分ほどに中心市街地があり、使われていなかった地上5階建ての施設を市が買い取って再活用し、2011年に八戸ポータルミュージアムはっちという施設がオープンしました。中心通りを挟んで向かいにあるガラスの屋根つきの市営の広場、マチニワと一緒ににぎわいをつくっているそうです。私は見学には行ったことがないのですが、一昨年地域創生の大学院講座で受講し、勉強する折に自治体が若者と共創して施設を盛り上げているユニークな成功事例として、はっちが紹介されていたことを思い出し、今回改めて取材をしてみました。
はっちのコンセプトは、新たな交流と創造の拠点としてのにぎわいの創出や観光と地域文化の振興を図ることで、中心市街地と八戸市全体の活性化を目指し、子供から高齢者まであらゆる世代の市民の居場所、発表の場、学びの場、活動の場ということを掲げてつくられています。バス通りに面していることもあり、午前中は高齢者、午後は勉強する学生が中心に訪れ、Wi-Fiも完備なので、仕事をするビジネスマンも多く訪れ、開館から14年経過した今でも、一日に平均2,000人ほどの来館者があるそうです。入館者はコロナ前までは年間90万人近くになったそうですが、コロナで落ち込み、まちの状況が少し変化し一時的に減少はしたものの、今戻りつつあると言います。
特筆すべき具体的な話は、学生が討論し新しい活動を生み出す場になっていることです。その仕掛けをつくったのはコーディネーターとして市が契約した芸術家で、そこに自然発生的に集まってきた地元の高校生とで、まちぐみと名付けた組織を生み出し、多いときは500人のメンバーが登録し、活動しているということです。多世代が暇を潰せるような敷居の低い居心地のいい空間になっており、市民に会話が生まれたほか、若者にとってはアイデアを表現する場ともなり、郷土愛も高まったという相乗効果が生まれたそうです。
またこの区域には、他の市の直営施設が幾つかあります。2016年にははっちの裏側に、公設の本屋さんで民間と重ならない専門書を中心とした八戸ブックセンターを開館し、本を読む人、書く人を増やすなど、市が本で町を盛り上げ、文化度を高めるという独自の事業を行っており、はっちやマチニワと合わせた魅力ある中心市街地づくりを進めています。
施設運営については、指定管理者には任せず、会計年度職員でまちづくりに適した人材を十数名確保しているそうです。また、はっちとマチニワのにぎわいの影響で、ビジネスホテルが2軒建ち、タリーズコーヒーができるなど、そのほか中心市街地に出店が相次いだというのも見逃せない話でした。
八戸市では、今日まで4日間、五穀豊穣を祈願する伝統の春祭り、八戸えんぶりが各地で盛り上がっているようです。八戸市でも後継者不足から伝統行事を守っていこうということで、はっちでも工夫を凝らしたイベントを行っています。そして、そこで若者への伝統芸能や行事の伝承を行う拠点としての役割も果たしているようです。
そこで、次の質問に移らせていただきます。
松本の町なかでも人口減少が進む中、地元の伝統行事の継承の難しさは課題として浮き彫りになっています。そんな中、伝統行事を通じて改めて地域をつなぎ直す場、他地域の子供たちとも伝統行事を軸に交流する場にと、新たな施設に対しての期待の声もあります。松本の商都のシンボルである市の重要文化財の深志神社の舞台16台や、おはやし文化、あめ市の行事などで見られる、商業の中心地として栄えた松本の有形、無形の文化継承への危機感がある中、この松本の伝統文化を絶やさぬよう、子供の学びの場や文化継承の場を八戸のようにつくることはできないでしょうか。複合施設の中に、何らかの文化財をお祭りの時以外に設置する機会をつくることも一つの手段かもしれません。昨年オープンした基幹博物館をはじめ、Mウイングなど様々な公共施設がある中、松本駅前並びにあがたの森、松本城を結ぶトライアングル全体として、改めてそれぞれの役割を整理しながら、伝統文化の継承の場づくりを進めていただきたいと考えますが、市のご見解を伺います。
◎総合戦略室長(近藤潔)
新たに設置する複合施設の素々案では、文化振興に資する施設の考えをお示ししています。またトライアングルエリアには、基幹博物館などの文化関係の公共施設など複数あることからも、議員ご提案の子供の遊び場や文化継承の場の設置について、今議員からご紹介いただいた八戸市の先進事例なども研究しつつ、今後市民の意見をお聞きする中で検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◎中山英子
先ほどの若林議員の質問とも多少関連する部分もあるんですけれども、伝統文化や歴史を子供時分に学び体験、体感することで、松本のDNAをつなぎ、それを踏まえて、若者たちが新しい文化を創造していくといった循環が、そのまちに厚みを増し、魅力を高めていくと思います。
また、中心市街地を巡り地域の勉強をしている小学生、中学生も多くいるそうです。そういった子供たちの学びの発表の場もあったらいいという声も聞かれます。全てを一つの施設に統括することはできませんが、若者に選ばれる魅力ある松本の顔づくりへ、ポストパルコの公民連携施設への投資が松本市全体の起爆剤となるよう、市民と一緒になって全力を注いでいただくことを願っています。
次の質問に移ります。
私自身これまで国内外で活動する中、改めて松本のよさを実感し、Uターンした一人であります。自然や文化資本など魅力あるコンテンツが多い反面、有効活用し切れていないというもどかしさも感じています。このすばらしい資本を生かすのは人に尽きます。そこで、新しい時代に向けた資本を生かせる人づくりといった観点から、松本市の人材育成について質問をさせていただきます。
今後まちづくりに携わる職員の育成をするに当たり、民間感覚を身につけていくということは大変重要だと考えます。そのためには、民間企業との人事交流等も有効と思いますが、これまでに民間との人事交流の実績はありますでしょうか。
また、セイコーエプソン株式会社と包括連携協定を結んでおりますが、人事面での交流を考えてみるのはいかがでしょうか。
◎総務部長(中野嘉勝)
松本市では、これまで民間企業との人事交流は、職員研修の一環として派遣研修という形で実施をしております。近年では、完全な民間ではございませんが、信州大学のほうへの派遣を行っております。また、過去には長野経済研究所、松本商工会議所、松本青年会議所などへの派遣も行っております。派遣先による期間の長短はございますが、民間の経営理念を学び、業務運営を経験したことにより、幅広い視野が身につくなど一定の効果があったものと認識をしております。
そこで、議員ご提案のセイコーエプソン株式会社との人事交流でございますが、このことにつきましては、相手方のお考えを聞き確認する必要もございます。その上で、まずはDX推進の観点から市事業との関連等を踏まえた上で、庁内で検討を進めてまいりたいと思っております。
以上であります。
◎中山英子
包括連携協定を有効に活用し、研修レベルでの人事交流にとどまらず、1年、2年といった一定の期間企業で業務を行ったり、先方から出向していただくなど、ご検討をいただければと思います。
次の質問に移ります。
将来に向けたまちづくりを進めていく上では、若い職員がやる気を持って主体的に事業を取り組んでいくことが重要と思います。若い職員のアイデアや事業を政策に反映する仕組みが必要と考えますが、市の現状をお伺いします。
◎総務部長(中野嘉勝)
現在新規採用職員と新任主査の研修におきまして、それぞれ松本市で課題だと感じるテーマにつきまして、市長への政策提言を行っております。この提言の際には各担当者、その政策の担当者も同席をいたしまして、よい提言については実施計画や予算に反映していくという取組を行っております。
今年度新規採用職員からの提言を受け、バスロケーションシステムのQRコードをバス停に設置することとなり、市民サービスの向上につなげた事例もございます。
また、職員提案制度におきましても、これは随時職員からの提案を受け付けている制度でございますが、文書に使用するフォントをユニバーサルデザイン書体に変更したことで、障害をお持ちの方にも読みやすい書体で情報発信ができるように改善ができました。他にもネーミングライツ事業の導入についても、職員提案によって実施に至った事業でございます。
引き続き、職員が様々な視点で気がついた松本市の改善点や伸びしろなど、様々なアイデアをご提案できる環境を整え、事業、政策に反映させることで職員の意欲を引き出してまいりたいと考えております。
以上であります。
◎中山英子
そのような取組について、ぜひ成果も含めて報告やPRをしていただき、職員の方のモチベーションの強化につなげていただければと思います。
若い人の声を積極的に取り組むといった点では、県の来年度の予算の中に、将来を担う若者交流促進事業という項目が盛り込まれていました。松本市も同様な形で、若い市民がつながり合い、何かを生み出す機会を積極的につくるような施策を予算に盛り込んでいただきたいと思います。また、若手職員に事業を任せ、実施していくのも、公民の人材交流にもなり、まちづくりの人材の強化の方法の一つかと思いますので、ご検討いただければと思います。
最後に市長に質問をさせていただきます。まちづくりや事業を進めていく上で、関わる職員に求められるのは、何よりも地域の人とのコミュニケーションを取り、一つの課題を最後まで考え抜く課題解決の力だと思います。こうした人材育成を始め、本市の人材マネジメント戦略の拡充について、臥雲市長のご見解をお伺いします。
◎市長(臥雲義尚)
私は市長就任以来、これからの市役所の在り方として、市民に身近な場所で働くことが職員の本分であり、そのために地域拠点の強化拡充を進めてまいりました。そして、35地区それぞれの特性に即した行政対応を行っていくためには、議員ご指摘のとおり、コミュニケーション力や課題解決力を備えた職員が極めて重要になります。そこで、職員にはこれまで以上に現場に出向き、現状を把握し、自ら問題を設定して解決策を探ることを求めています。
令和3年度から取組を進めています地域づくりセンター強化のモデル事業では、8か所のモデル地区に職員を増員し、現場の裁量を増やすことを心がけてきました。その取組を踏まえ、来年度は複数の地区を機動的に回って、地域づくりセンターを支援する職員を配置し、現場の課題解決力を高めてまいります。
また、センター長人事につきましても、若手の課長を配置して、地域での活動を経験して地域に還元することを通じて、幹部職員につながるキャリアパスに位置づけてまいります。
さらに新規に採用する職員につきましては、セカンドキャリアとして民間企業から転職する人材も増えていまして、いわゆる生え抜きの職員にはない力や発想を発揮してくれています。
今後もよりよいまちづくりにつなげるための要である人づくりを大切にして、住民の活動や意欲を後押ししてまいります。
◎中山英子
市長もおっしゃるように、まちづくりは人づくりなのだということを私も感じております。議員になってまちを回り、まちづくりに向けたさらなる住民の巻き込みに必要なことは何なんだろうと突き詰めて考えるほどに、人材の育成の強化に尽きるといった確信を深めております。市の職員にとどまらず、市民の意識アップも必要なことではありますが、まずはまちに関わる公務員の皆様方に今以上に町に寄り添っていただくことで、地域は変わっていくようにも思います。
最後に、様々な活動を通じて知り合った、兵庫県のある中核市の自治体の20代の若手職員のことを紹介させていただきます。彼女のSNSを見ていると、役所の若手職員の自主研修グループ活動や地域に積極的に入った活動が多く見られたので、改めて話を聞いてみました。
夜カツと名付けた、夜の活動という意味だと思うんですけれども、若手職員の自主研修グループでは、月に何度か業務終了後にアイデアなど話し合い、イベントに落とし込んで地域に出ていく活動などをしているそうです。最近行ったのは大学生と公務員がフラットに語り合う「公務員と語る、公務員を語る」という自主イベントで、進路を考える大学生に呼びかけ、役所の仕事について感じたことありのままを話し、公務員という職業を様々な角度から知ってもらうイベントを行ったようです。関西一円の公務員と学生70人近くが集まり、大変盛り上がった様子がアップされ、その話も聞きました。
なぜ多くの市民との交流が活発なのか、巻き込みに成功しているのかといったことを聞いてみますと、市で顔の見える関係づくりを大きく掲げており、地域に出ていくことを推奨する上司も多く、地域の人々とつながることを面白がる、やりがいを持つ若い職員が活動しやすい環境にあるといったことを話しておりました。
彼女が話していたことで印象深かったことですが、文句を言うだけの地域、クレームに対応するだけの公務員という関係から脱却するためには、地域と公務員との間をつなぐ役を果たしていく存在が大切。議事録には残らない活動ではあるけれども、地域目線で考えるために井戸端会議的なものが発生するイベント、地域のイベントに、私たち公務員がどんどん出ていくことで課題や必要なことが見えてくると話しておりました。
いずれにせよ、どこの地域もこれからますます人口が減少し、事務的作業はデジタルやAIへ移行していきますが、移行期の人材のほかに、AIには代われない、人間しかできない地域課題の解決力ある人づくりは、本当に時間もかかることと思います。ポストパルコの公民連携施設と松本の顔としての中心市街地の活性、並びに今後拡充していく35地区の地域づくりセンターの強化、どれをとっても戦略的な人材育成マネジメントの取組が急務で、人材強化に注力、増強することなくして成功は考えられないというふうに思っています。
ぜひ本市も、他自治体の事例を参考にしながら、人事戦略を改めて見直されることを提案し、私の質問の全てを終わらせていただきます。ありがとうございました。